- 作者: ローレンスクラウス,Lawrence M. Krauss,青木薫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2013/11/29
- メディア: 単行本
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この表記の本を読んでいて、なかなかおもしろいんだが、ちょっとひっかかったところ。こんなくだりがあるのだ。
そして、平坦な宇宙のシミュレーション画像は、童話『3匹のくま』に出てくる赤ちゃん熊のベッドのように、大きくもなく小さくもなく「ちょうど良い」サイズであることがわかったのである。(p.93)
さて……
3匹のくまという童話は、たぶん皆さんもご存じだったと思うんだが、お父さんぐま、お母さんぐま、赤ちゃんぐまの三匹のくまが平和に住む家に、人間の女の子ゴールディーロックスがやってきて、勝手に食い荒らすわ器物破損をやらかすわ、蛮行の限りを尽くすという、今にして思えばひどい話ではある。さて、その中で、「ちょうど良い」のは赤ちゃんぐまのベッドだっただろうか?
ぼくの記憶では、お父さんぐまのやつはいつも、椅子は大きすぎ、スープは熱すぎ、パンは大きすぎて食い切れず、ベッドは大きすぎる。赤ちゃんぐまは、椅子は小さすぎ、スープは冷たすぎ、パンは全然不足で、ベッドはもちろん三匹の中で一番小さい。そして女の子はいつも真ん中の、大きすぎもせず小さすぎもせず、熱すぎもせず冷たすぎもせず、というものを選ぶ。それは、常にお母さんのだ。
当然、ベッドの場合でも、常識的に考えてお父さんぐまのは大きい。赤ちゃんグマのは小さい。だからお話では、帰宅したクマたちは、お父さんは自分の寝床が乱れているのを見て「誰が寝た!」と怒る。赤ちゃんぐまは、だれかが自分のベッドに寝ようとしてそれを壊してしまったのを見て怒る。もちろん女の子は、赤ちゃんのベッドに入るには体が大きいので、それを壊してしまったわけ。ちょうどよかったのは、お母さんぐまのベッド、だったと思うんだけれど……
ちがいましたっけ。最初は訳者が勝手に補ったのかと思ったんだが、原初を見ても、赤ちゃんグマのベッドと書いてあるんだよね。
- 作者: トルストイ,バスネツォフ,おがさわらとよき
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1962/05/01
- メディア: 大型本
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付記
各方面からのコメントおよびウィキペディア先生によると、やっぱり赤ちゃんグマでよかったみたい。うーむ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/3%E3%81%B3%E3%81%8D%E3%81%AE%E3%81%8F%E3%81%BE
しかし、原作は女の子ではなくばあさんだったとか……
http://en.wikipedia.org/wiki/The_Story_of_the_Three_Bears
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