ヘラー『グリッドロック経済』

もう2010年に脱稿して以来、一向に出る気配がないこの本。所有権とか細分化すると、あとあと収拾つかなくなって身動きとれなくなるよ、という本。権利者の分散によるごね得問題というか、地上げ屋の悩みみたいな話は昔からあって、それ自体は目新しくない。でもそれが実はかなりいろんなところに(しかも善意から)発生しているので、注意していないと気がつかないこともあるし、そういう事態を指摘するところから始めろ、という本。コモンズ管理の手法の議論などともあわせて、問題と解決法まであげて、決して悪くない本ではあるけれど、まあ古い問題だしそんな決定的な解決策が挙がっているわけではないのが弱いところかな。

丸6年以上もハードディスクの肥やしになってるのはそろそろ飽きたし、まさに本書で描かれている変な権利者のアレで資源活用が阻害されている例だと思うので、放出します。事例もちょっと古びてきた部分もあるし。

ヘラー『グリッドロック経済』(pdf, 1.5MB)

出したいという出版社があればご一報を。

付記

……と出しておいたら、本当に手を挙げたところがあって、出ました。

グリッドロック経済――多すぎる所有権が市場をつぶす

グリッドロック経済――多すぎる所有権が市場をつぶす