2012年の3冊

  1. 田中浩也『FabLife』
  2. ソローキン『青い脂』
  3. 初沢亜利『True Feeling』

FabLife ―デジタルファブリケーションから生まれる「つくりかたの未来」 (Make: Japan Books)

FabLife ―デジタルファブリケーションから生まれる「つくりかたの未来」 (Make: Japan Books)

青い脂

青い脂

True Feelings―爪痕の真情。 2011.3.12~2012.3.11

True Feelings―爪痕の真情。 2011.3.12~2012.3.11

 1はパソコン革命に続く個人製造業時代の幕開けを告げる本の代表として。もう少し奔放な大風呂敷としてはアンダーソン『Makers』(NHK出版)も。小説は……2の衝撃のお下劣力は無敵。他にミラー『ビッグ・サーとヒエロニムス・ボスのオレンジ』(文遊社)と年末に刊行開始のダレル『アヴィニョン五重奏』(河出書房新社)が注目。3は東北震災から一年の変遷をとらえた、震災ではなく復興の写真集。異様な瓦礫の横での平然とした日常に希望と悲しみが同居する不思議な映像の集まり。課題の残る復興を考える背景として是非。他に呉秀三他『精神病者私宅監置の実況』(医学書院)は精神医療の問題を明治期に詳しい実態調査で明らかにした名著の現代語訳で建築的にも興味深かった。

【現代語訳】呉秀三・樫田五郎 精神病者私宅監置の実況

【現代語訳】呉秀三・樫田五郎 精神病者私宅監置の実況

この一年:

クルーグマン『さっさと不況を終わらせろ』等邦訳。長年紹介してきたリフレ政策が選挙の争点になり感動。

さっさと不況を終わらせろ

さっさと不況を終わらせろ



クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.