禁煙促進にはデブを魅力的にせよ!

Weight watchers (The Economist 2013/4/13号 p.69)


2002年にニューヨーク市マイケル・ブルームバーグは「完全に好きにさせてもらえるなら、タバコ税を思いっきりあげて、そこからの税収がゼロになるくらいにするんですがね」と述べた。この戦闘的な市長はその後、タバコ税を何度か上げた。効果は限定的だったので、市長は新しい手を考えている。タバコの割引と、店頭で目に見えるところに掲示するのを禁止しようというのだ。

こうした手段が承認されるか――そして効果を持つか――はまだわからない。でもブルームバーグ氏が禁止を強めるのは正しいかもしれない。パリ経済学校のアベル・ブロデュールによる新しい論文は、アメリカでの徹底した調査によるもので、喫煙禁止例は効果があるだけでなく、喫煙者の幸福度を増すと指摘している。レストランやバーでの喫煙を禁止することで(ニューヨークはすでにこれをやっている)、政府は意志の弱い人たちに、自分一人では実現できないこと――つまり禁煙――をやる口実を与えてくれるのだ。追加の便益として、喫煙禁止は喫煙者の妻や夫も幸せにしているようだ。

二本目の論文は、喫煙撃退手段としてタバコ税引き上げが効果を持つか疑問視している人々に武器を与えることになる。コーネル大のジョン・コーレーとヨーク大学のステファニー・フォン・ヒンケ・ケスラー・ショルダーは、若いアメリカ喫煙者たちが高いタバコ価格にどのくらい敏感かを調べた。結果は、ほとんど関係ない。これは若者の相当数――ティーン女子の46%、ティーン男子の30%――が喫煙するのは楽しみのためではなく、体重を減らすためだからだ。

これは健康ではないにしても合理的ではある。煙草は食欲を抑えて代謝率を上げるからだ。理由はどうあれ、体重を減らしたいという願いのおかげで、若者たちは煙草の値段が上がってもあまり行動を変えない。他のダイエット方法、たとえば食事を減らしたり運動したりというのは、あまり魅力的ではない。さらに、ティーンエージャーたちは煙草にそんなにあまりお金を使わない。ミネソタ大学の2003年研究では、ティーン喫煙者のうち直近のタバコを自分で買ったのはたった16%だった。

すでに違法な若者による喫煙は、喫煙禁止措置では止まらないだろう。運のいいことに、この研究は新しい取り組み方法も示唆している。喫煙者に、きみたちは太りすぎなんかじゃないよ、と納得させればいいのだ。BMI(人々の肥満度を測る方法の一つ)によれば、やせるために喫煙している多くの喫煙女子は、まったく正常な体重だったのだから(ただし男子はそうではなかった)。