中国メディアの歪曲

昼休みに2ちゃんまとめサイト見てたら、こんな記事を見かけた。

web.archive.org

なんかBBCってえらくきついこと言うんだねー、と思って、実際なんと言っているのか見てみようと思って、検索かけました。ここで言及されているのは、明らかに次の記事。

www.bbc.com

一瞬ぼくはこれを見て「あ、日本は『ごめんなさい』がどうしても言えない国だと非難してる記事なんだね」と思ったんだけど、よく見るとちがう。

「Japan's 'sorry' seems to be the hardest word to remember」、つまり、日本は「ごめんなさい」って言ってるのに、それがまるで記憶されない、という題名だ。

え? なんか最初の記事のニュアンスとちがわない? じゃあその題名になっている部分は?日本は羊の皮を被った狼、つまり平和主義のふりした侵略軍事国家っていう糾弾はどこに出てくるの?

実は、出てきません。これに似た話が出てくるのは、BBC記事の最後の部分。

In the end, Japan is the world's largest sheep in wolf's clothing. Its message mismanagement has convinced many that it is an aggressive polity even though, of the world's 200 countries, it is one of the most peace-loving and non-militaristic nations.

「結局のところ、日本は世界最大の、オオカミの皮をかぶったなのである。」

「世界200国のうち、最も平和を愛し、非軍事的な国の一つなのである」

羊の皮をかぶったオオカミ ←→ オオカミの皮をかぶった羊

つまり冒頭で紹介されている中国の記事は、BBCの記事を完全に正反対に歪曲しているのだ。

この記事の中では、「日本は国際基準で見ればさんざん謝ってる」というのが主眼だ。そして、中国がアメリカつぶしの一環として、日本を叩く口実にこれを使って、いくら謝ってもそれを都合よく忘れてるんだ、というのも指摘。冒頭の記事は、そういうのもまったく触れない。

ドイツの比較だって「そういう言い分が定番になってる(けど、それってかなり不当)」という文にすぎない。その後で、謝り方はドイツと比べれば劣るという一方で「西欧と比べても日本はいっぱい謝ってる」とも認めている。これも完全に無視。

だからこれ、一部異論のあるところもいくつかあるけど、基本はとっても日本に同情的な記事だ。いっぱい謝ってるのに可哀想だ、でももっとメッセージの出し方とかうまくやれよ、と言ってる。それをまったく無視して、オオカミと羊を正反対にするってのはさすがにひどい、が、中国のメディアに何を期待してもねえ。

結局……中国メディアは信用できないし、それをそのまま垂れ流すサーチナだのBiglobeニュースは見るだけ無駄だし、そしてそれを真に受ける人はいつまでも懲りないねえ、メディアリテラシーしろ! ということですね。そしていちばんの被害者は、まるっきりデタラメ書かれたうえ、それを真に受けた無学なネトウヨたちにブサヨ認定されかねないBBCだよねー。かわいそうに。

(しかし、だれかその「中国メディア」というのを見て、ホントにこんな捏造内容になってるのか見て欲しい気もする。サーチナが捏造している可能性もあるので。その後各種コメントなどを見ると、なんでも、中国メディアの中でも、この出所である環球時報はそもそも最低のタブロイドとのこと。だったらなおさら、サーチナだのBiglobeニュースがダメってことか)

こちらもご参照を。

BBCも安倍談話を批判している!→中国メディアの誤訳でした……環球時報の「断章取義」的世界(高口) : 中国・新興国・海外ニュース&コラム | KINBRICKS NOW(キンブリックス・ナウ)