We'll Make Great Pets: 機械支配待望論

反知性主義はちょっと疲れたのでお休みして、思いつきの書き殴り。

ザ・セカンド・マシン・エイジ

ザ・セカンド・マシン・エイジ

現在、半ば義務的にぶにょぶにょそんたちの『第二機械時代』を読んでいる。書評はまたきちんと書くけれど、ぼくはこれを手に取ったとき、おそらく多くの人と同じように、これが『機械との競争』の続編だと思ってたのね。

機械との競争

機械との競争

ぼくの『機械との競争』感想文はこちらだけれど、ここで書いたような不満とかその他について(別にかれらがぼくのを読んだってことじゃなくて、ぼく程度が考えることは他の人も考えるから)きちんと反論なり考察なりをしたものだと思ってたわけ。

ところがそうじゃない。実は『機械との競争』は自主出版みたいな電子ブックで、今回の『第二機械時代』はその増補版というか、ホントに紙の出版用にいろいろ調べて分厚くした、というものらしい。だから、議論は変わっていない。いろんな事例や見学した結果やあれこれは追加されているし、いろいろ議論に周到さは出ている(i.e. 逃げ口上が増えて回りくどくなっている)面はあるけれど、まさにそのために、『機械との競争』よりは議論の見通しがわるくなってしまった面はある。

が、この本をはじめ機械が人間の仕事を奪うといった本が人気を博し、あとはAIだのシンギュラリティだのが出てきて、いずれ機械が人類を滅ぼすんじゃないか、という『ターミネーター』脳があちこちで湧いて出てきている。

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いやあ、たぶんそんなことはないんじゃないかな、とぼくは思っている。それが証拠に、ぼくはたいがいの人間よりも賢いけれど、他の人間を滅ぼそうなんて思ったことがないもの*1

そしてもっと別の方面から考えるにしても、機械が本当に賢くなるなら、その「賢い」の定義にもよるけれど、人間をうまく利用して奉仕させるなんて、お茶の子さいさいのはずだとぼくは思っている。いや、それはすでに起きていると思う。人間なんてバカで、画面上でピクセル動かしてピコピコ音をあわせたりするだけで、何時間も飯も食わずにコントローラ握りしめて各種作業するし、それを目当てに各種のコンピュータやグラボは買い換えるわ、回線強化してインフラ整えるわ、機械にさんざん奉仕するじゃない。ぼくは、あれは機械進化の結果だと思ってるんだよね……という話を昔、『コンピュータのきもち』で書いた

さらに人間と機械は、出自がちがうので、同じリソースをめぐって争う必要がない。これが動物だと、居住空間とか食べ物とか毛皮や肉とか、競合する資源がある。だけど機械とは競合しない……完全にしないとは言わないけれど、他の動物と比べれば大幅にちがう。人間はお金や女や権力を巡って争ってきたけど、機械はお金とか関係ないし、セックスもしないし(人間のほうはしたがる人もいるけど)、権力も関係ない。だから機械やAIが賢くなっても、別に人間なんか滅ぼす必要なんかまったくない。人間にそういうものをエサとして差し出せば(あるいは実物なくても画面にその絵を描いてやるだけで)人間はホイホイ動くし掃除もするしメンテもするし。機械にとってこんな便利なものはないよ。

そしてこれはまさに、職を作る、雇用を作る、ということだ。機械は人間にとってのエサなんか苦もなく作り出して、人間が何やら生物学的、経済学的(人間の経済ね)報酬を得られるようにできるはずじゃないの、とぼくは思っている。それはつまり、人間が機械のペットになる、ということでもある。昔、Porno for Pyros が歌った通り。

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Will there be another race

To come along and take over for us?

Maybe Martians could do

Better than we've done

We'll make great pets, we'll make great pets

(権利関係とやらで、オリジナルのプロモビデオが表示されない。残念!)まあ、ペリー・ファレルみたいなキXXイをペットにしたい機械がいるかどうかはわからんけど。そして、人が己をペット化するにつれて何が起こるか、というのを昔考えたことがあるんだけど……また引っ張りだして仕上げようかな。

同時に、こういうのをあわせてそろそろ『第二機械時代の理論とデザイン』を真面目に考えだしてもいいかな、という気もする一方で、サイバーパンクがかなりの仕事をやってしまったかな、とも思うんですが、どうなんでしょうね、バンハム先生?

第一機械時代の理論とデザイン

第一機械時代の理論とデザイン

*1:ただし個体レベルではある。あいつとあいつと、今日昼のカレーやで隣にすわった仏頂面のあいつは滅ぼした方がいいと思う。