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超図解入門なんとかピケティ:あまりにどれもこれも同じだあ。

ピケティ 書評

見るだけでわかるピケティ超図解――『21世紀の資本』完全マスター

見るだけでわかるピケティ超図解――『21世紀の資本』完全マスター

一番やさしい ピケティ「超」入門

一番やさしい ピケティ「超」入門

はいはい、いろいろ出てきたピケティ解説書ですが……

どれもこれもみんな同じすぎ! どれもとにかく、「ピケティってだれ?」「r>gってどういうこと?」「なぜ売れたの?」等々の疑問を並べて、それに見開きか3−4ページで答えを載せるという形式。で、その疑問もほとんど同じ。

ここに挙げた三冊はみんなこれ。図を重視してますとか、少し長目ですとか、疑問が少し細かめですとかいった差はあるが、基本的にはみんな似たり寄ったり。ほとんど、ぼくのあんちょこをちょっと拡充しただけ。

多少の差をあげると、神樹「見るだけピケティ」ではピケティに対する批判論も紹介しているのが特長かな。とはいえほとんどぼくのあんちょこと同じレベル。日本への処方箋も2ページのみ。
そしてなんか、ピケティのFTへの反論と、日本格差脱出へのヒント集とやらを無料でくれるとかいうんだけど、もらうにはメルマガに登録しなきゃいけないんだって。ちなみに、このFTへの反論というのは、ぼくがサポートページで公開しているものとまったく同じものの翻訳。そして、後者の「日本型格差/貧困社会からの脱出ヒント集」は、これ以上はないというほど愚劣な代物。えーと、まず種銭をつくるためにマイホームを売り払って郊外に移住するのがお奨め? あんた何言ってんの? マイホーム持ってる時点で日本では貧困じゃないですから。あとは生命保険はやめて県民共済に入れとか、車は買うなとか、子供は公立で英語力のためにスカイプ英会話とかは、別にかまわないとは思うがピケティ関係ないし、果ては投資は外国の(それも途上国の)不動産投資すすめたりしてるよ。トホホホ。ピケティのどこを読んでるんじゃという感じで、最後は自著の宣伝。やれやれ。本そのものはさておき、このおまけのダメさ加減で、もう却下です。

中野「一番やさしい」は、この三冊の中では各種解説の書き方や問題設定などで、相対的に(あくまで相対的に)いちばん独自性が高く、見ていて楽しめる。特に最後の五章「格差社会の進行はくいとめられるのか」の部分。日本の話も別立てでまとめるのではなく、文中に含めて対比しつつやっているのは、よい工夫かなとは思う。

造事務所「オール図解」は、藪下史郎が監修になっているが、序文とあとがきでとてもジェネリックなことを書いているくらいで、どこまで監修したんだろう。各章の最後に練習問題がついていたり、非常に貧弱な「経済データ」が最後についているのは、まあないよりはあったほうがいいかなあ。他では触れていない気候変動ネタとか、日本での格差問題についてそこそこ(あくまで相対的に出羽あるが)詳しく出て、奨学金返済とか東京と地方の格差とかも触れているのは、他よりも優れているところかな。しかし主要参考文献に池田本とか竹信本が挙がっているのはどうよ。藪下史郎はそんなの見ないようアドバイスすべきだったのでは……

ということで、みんな五十歩百歩でドングリの背比べ。同じ頃に、みんな同じようなことを思いつき、同じようなものを下敷きにして、できたものも似たようなもの、ということなんでしょうねえ。いずれも、全然だめというわけではなく、『21世紀の資本』の要約としてはふつう。これならぼくのあんちょこでも十分だとは思うけど、でも読んで害になるわけではありません。