2011-01-01から1年間の記事一覧

ディレーニ『ダールグレン』:長いだけが取り柄のナルシスティックな本。誰も読まないことで得をしている。

ダールグレン(1) (未来の文学)作者:サミュエル・R・ディレイニー国書刊行会Amazonダールグレン(2) (未来の文学)作者:サミュエル・R・ディレイニー国書刊行会Amazon 長ったらしくてみんな読んでないから、問題作とか話題作とか野心的なナントカとか言う…

ポラック『世界一大きな問題のシンプルな解き方』:貧困削減のために、貧困層の収入アップをマーケティングや付加価値、起業などを通じてやろうという本。ごもっとも。

世界一大きな問題のシンプルな解き方――私が貧困解決の現場で学んだこと作者: ポールポラック,東方雅美出版社/メーカー: 英治出版発売日: 2011/06/14メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 3人 クリック: 211回この商品を含むブログ (9件) を見る著者はそう…

ばらまきでいいからどんどん金を使え、というまっとう至極な本。

なぜ日本経済はうまくいかないのか (新潮選書)作者: 原田泰出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/05/25メディア: 単行本購入: 16人 クリック: 539回この商品を含むブログ (4件) を見る原田泰の本は、読んでると「そうそう、その通り。いやごもっとも。そうで…

チュア『最強国の条件』:寛容さでいろいろ受け入れると発展するけれど、それが不安を招いて不寛容に向かい没落。整理としては明解でよいと思う。

最強国の条件作者: エイミー・チュア,徳川家広出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/05/11メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 118回この商品を含むブログ (6件) を見る本の紹介にもあるとおり、国は寛容さを発揮していろいろ受け入れると発展するけれど、…

グラード『忘れられた王国』:1940年代のシャングリラ/麗江の様子。おもしろいんだけどね。

忘れられた王国―一九三〇‐四〇年代の香格里拉(シャングリラ)・麗江作者:ピーター グラード発売日: 2011/06/01メディア: 単行本麗江は昔いって好きなところなんだが、地震で壊滅したりしている。あそこがシャングリラだとは知らなかった! 釣鐘梅木ちゃんや不…

ハーゲンバーグ「なりたいのは建築家」:建築家たちへのインタビュー集。つまらなくはないが、知っている人にしか伝わらないと思う。

なりたいのは建築家―24 ARCHITECTS IN JAPAN作者: ローランドハーゲンバーグ,Roland Hagenberg出版社/メーカー: 柏書房発売日: 2011/06メディア: 単行本 クリック: 81回この商品を含むブログ (4件) を見るインタビュー集としては悪くはないけれど、インタビ…

タイミングがあわずに採り上げられないのがとても残念。今後日本のインフラ更新や維持のためにすべきことを具体的にまとめたよい本。

朽ちるインフラ―忍び寄るもうひとつの危機作者: 根本祐二出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2011/05/25メディア: 単行本購入: 41人 クリック: 617回この商品を含むブログ (20件) を見るこれはとてもよい本だし重要なテーマを扱っているので、スペ…

だれかの設定に基づくアニメの話だけで、一般性ある「自己/自我」の話はできない。

SFで自己を読む: 『攻殻機動隊』『スカイ・クロラ』『イノセンス』 (青弓社ライブラリー)作者: 浅見克彦出版社/メーカー: 青弓社発売日: 2011/05/22メディア: 単行本 クリック: 101回この商品を含むブログ (3件) を見る 押井守のSFアニメをもとに、自己と…

初歩から最先端の成果までを実に平易に説明、日本の研究水準紹介としても有益。あとは値段さえ……

自己変革するDNA作者: 太田邦史出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2011/01/21メディア: 単行本購入: 29人 クリック: 1,105回この商品を含むブログ (5件) を見るみすず書房で「画期的概念の創出へ」などと帯の背に書いてあるもんで、また例によってDNAの…

ブンガクって、要は自分語りなんだってさ。

〈文学〉の誕生とその終焉作者: 新谷淳一出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2011/05/25メディア: 単行本 クリック: 117回この商品を含むブログ (1件) を見る文学の終焉とかいう本は、たいがいが検屍解剖と葬式で文学を延命させようという姑息な試みであるこ…

頭でっかちで、仕事をしたことのない人の戯言。しかも革命のやりかたはわからないそうな。

革命---資本主義に亀裂をいれる作者: ジョン・ホロウェイ,高祖岩三郎,篠原雅武出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2011/04/23メディア: 単行本 クリック: 256回この商品を含むブログ (7件) を見る本書はこう始まる。 壊すこと。われわれは壊したい。今あ…

進化と言いつつ平等の適応条件を記述できていない。

平等論作者: 寺嶋秀明出版社/メーカー: ナカニシヤ出版発売日: 2011/05/19メディア: 単行本 クリック: 62回この商品を含むブログ (4件) を見る 平等を進化論的にとらえる本! デネット『自由は進化する』みたいな広がりのある本かと思って、ものすごく期待し…

哲学談義まみれで将来展望を何一つ出せずに終わる本。

空間のために 遍在化するスラム的世界のなかで作者: 篠原 雅武出版社/メーカー: 以文社発売日: 2011/05/13メディア: 単行本 クリック: 134回この商品を含むブログ (7件) を見る現代においてスラム化が進行している、というそもそも正しいかどうか不明なテー…

しょせん、彼女の理論が果てしない言い換えに過ぎないとわかる本。

領土・権威・諸権利―グローバリゼーション・スタディーズの現在―作者: サスキアサッセン,伊豫谷登士翁,伊藤茂出版社/メーカー: 明石書店発売日: 2011/04/08メディア: 単行本 クリック: 240回この商品を含むブログ (5件) を見る本書は、中世からずっとナショ…

金持ち、貧乏人、ブルガリア:やっぱりお金で幸せは買えます

(The rich, the poor and Bulgaria: Money really can buy you happiness)from: The Economist 2010/12/10, 翻訳 山形浩生お金で幸せは買えないという発想は人気がある。特に、成長重視の自由市場経済がまちがっていると思うヨーロッパ人の間ではその気が強…