Thomas Pynchon Against the Day あらすじ 3

Against the Day

Against the Day


承前

さて1899年の7月4日に、コロラドニコラ・テスラが大空中放電の実験をしてみせて大騒ぎ。その助手をつとめていたキット・トラヴァースはいまやヴェクトル主義者である。もともとマックスウェルの「電磁気学」などを読むとともに、実際の電気をまのあたりにすることで、それを表現するベクトルに目覚めてすっかりヴェクトル信奉者になった。で、テスラコロラドにくるというので助手にしてもらおうとして、まちがえて入った事務所は資本家ヴァイブの秘書。かれはイェール大学への奨学金を出してやると言い、身の上話をされ、そしてキットはそのまま隣のテスラのところで助手になる。家に帰って奨学金の話をすると、父ウェッブはそれに反対するが、キットは制止をふりきって家を出た。


一方(もうこの話、こればっか)、シカゴを離れた飛行船 Inconvenience 号は、大西洋をわたってアフリカを越え、地球の裏側の南インド洋に向かっているのだった。ニコラ・テスラの放電実験が地球の裏側でどんな影響を与えるか調べるためだった。地球の裏側でも7月4日の花火は欠かさず、船上では船首像のあり方と食事をめぐって何やら雰囲気は険悪に。さて実験の当日、地球の裏では何が起こったのでしょうか?

……という話は明らかにされずにしばらくしてInconvenience号は再度空へ。スラバヤでは変な日本人から日本特製のカキなるものを売りつけられるが、その中からは真珠がざくざく。実はミキモト博士が日本で養殖真珠生産技術を完成させるのと並行して、真珠の真珠層に分光機能を持たせ、真珠すべてに真珠暗号ともいうべき光学通信機能を持たせる極秘技術が開発されていたのである。これがミキモト真珠養殖技術と組み合わされ、真珠を身につけた女性たちが出入りする欧州の上級会議は盗聴しほうだい!

 ……という話は本題とは何の関係もなく、飛行船は南極から空洞地球を抜けて一路北極へ向かい、オルデン・ヴォルマンス博士の北極探検を阻止せよと命令をうける。だが空洞地球の中でテスラ装置から救難信号を受信したかれらは、飛行船協会の「空洞内着陸禁止協定」を敢えて破って奇妙な城へ緊急着陸を行うが、そこで突然小人集団に囲まれ、そこからからくも脱出した話は「Chums of Chance 地球の核の大冒険」でお読みください! そして明らかに縮小しつつある空洞地球への出入り口をぬけて、一行はヴォルマンス隊をのせたエチエンヌ・ルイ・マル号に接近するのだった。*1


(第一章おしまい)



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*1:なんかもうまるっきりわけわかりませんです。