新幹線の運転手さんにあれこれ話をきいた新書。運転手さんの一日とか、車種ごとのかんどころとか、おもしろいところもあるが、特に実況部分とかはだれる。また、個々の運転手さんの個人史をいろいろ聞かされても、マニアではないので「ふーん」という以上の感想なし。他の電車とどうちがうのか、とかも少ない。むかしの
国電で山間部の雪で機関車二台つけた列車運転とか、気の遠くなるような(正直いってそんな神業職人芸に頼るシステム設計自体がまちがっているとしか思えない)汽笛によるシンクロ運転なんかしているけれど、それと比べて難しさはどうなのかとか、ヒアリングを受けた運転手の個人史では多少ふれられているけれど、物足りない。新幹線の運転手に対する関心といえば、7割は新幹線に対する関心で、運転手その人自身に対する関心はせいぜい3割だと思うんだが、本書はその鉄道についての関心が非常に弱くて、人物のほうで話をまとめようとするんだよね。新幹線の運転手になりたかったとか、テーマそれ自体にあこがれのある人なら楽しめるかも。すごく深く勉強できる本ではなく、流し読みすておしまいの読み捨て本。が、この新書のコンセプトもそういうものだと思うので、それが特に問題というわけではない。
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