サロー他『飢える大陸アフリカ』:アフリカ農業の発展方策をまじめに考えた、ものすごくまともでよい本。

飢える大陸アフリカ―先進国の余剰がうみだす飢餓という名の人災

飢える大陸アフリカ―先進国の余剰がうみだす飢餓という名の人災

  • 作者: ロジャーサロー,スコットキルマン,Roger Thurow,Scott Kilman,岩永勝
  • 出版社/メーカー: 悠書館
  • 発売日: 2011/10
  • メディア: 単行本
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タイトルを見た瞬間、スーザン・ジョージのようなインチキな善意のつもりで有害な人殺しNGOのプロパガンダ本かと思ったが、まったくの杞憂。食料増産、市場整備、インフラ投資、自国補助金づけをやめ、アフリカの農業を破壊する行き当たりばったりの食料援助も廃止。遺伝子組み換え作物も積極的に入れるべき。こうした議論をすべて実際の現地ルポとともに描き出している。基本は、ノーマン・ボーローグ緑の革命はすばらしく偉大で、それをアフリカでもっと進めなければならないという本。それなのに世界先進国は自国の農業利権を守るために補助金を出して自国産物の競争力を高めようとし、アフリカの産物を輸入しようとせず、農業援助も尻込みして、たまに飢餓があると援助食料を投下して地元農業の市場を破壊する。みんな善意はあるんだから、実情を見てきちんと意味のある支援をしようじゃないか、と主張。

遺伝子組み換え作物はダメだとか、農薬使うなとか、先進国がサクシュしてるとか、そういうくだらない主張や記述はほぼ皆無。すべてまっとうだし、こういうちゃんとした本を読む人が増えればもっと意味ある援助もしやすくなると思う。本のめぐり具合で紙面で紹介できるかわからないので、ここで挙げておく。派手さはないけどいい本です。



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