
- 作者: Thomas Pynchon
- 出版社/メーカー: Penguin Press HC, The
- 発売日: 2006/11/21
- メディア: ハードカバー
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(承前)
十月末に、オーストリアがボスニア併合を発表。ウィーンでは反ユダヤ運動が勃発し、ヤシュミンは職場も家も失い、サイプリアンに説得されてトリエステに向かう。サイプリアンはウィーンでヤスミンの保護をあれこれ手配しようとするがあちこち転々。ヤシュミン、トリエステでゼータ関数マニアが一瞬復活して、ラマヌジャンの公式が特殊解なのだと気がつきほとんどその解法を思いつきかけた……そのとき風がふいて帽子が飛び、スカートがめくれたところでサイプリアンの手配した知り合いヴラド・クリッサンが登場。ヤシュミンの脚をみてかれはいきなり彼女の股間に手をつっこんで駅弁ファック。
ヴラドはトリエステとヴェニスを行ったり来たりしていて、ヤシュミンも同じく。教会でかれの無事を祈るヤスミンをブラドが戻ってきて後背位ファック。
サイプリアンは暗号化のベヴィスといっしょに船でトリエステを離れるんだが、その船は何やらスパイだらけ。船上であれこれミュージカルが展開されつつ、バルカン政治談義が展開されるが、実はサイプリアンには危険があれこれ迫っていて云々。ベヴィスが姿を消し、かれはサラエボからボスニアからマケドニアを通ってトリエステに戻る。
リーフはニースにいて博打とかやってるんだけど、かつてのアナキストダイナマイト仲間フラコに遭遇、メキシコに戻りたいと相談してカフェを出たところで、そのカフェがテロリストに爆破される。
リーフは、やはりヴァイブを殺すべくベニスへ。そこでヤスミンとヴラドに出会ったとき、オーストリアとサイプリアンの元愛人に襲われ銃撃戦。ヴラドは捕まって殺され、その騒動のなかでリーフとヤシュミンがいい仲になって、南仏に逃れるけど、実はヴラドがくれた本を見るとベクトルと四元数の記号が散在していて、実は別の力が働いていたのを彼女が少し悟る。
サイプリアン、ヴェニスに戻り、ヴラドとヤシュミンに起きたことを知る。ヤシュミンの行方を捜すが見つからず、あきらめた頃にリヴァでばったり彼女に出くわした。なんとなくかれらの運命は、フランツ・フェルディナンド皇子とからみつつあるんだけど、一方でサイプリアンとヤスミンがこんどはいい仲になるが、だんだんリーフとSM風味3Pをするようになって云々。サイプリアン、元ゲイなので、こんどはリーフと二人でよろしくやるようになる。三人は、アナキストたちの庇護をうけてうろうろするが、ここでヤシュミンがリーフの子供を妊娠したことがわかる。
その前の晩、彼女は自分を不確かなリーマン空間から救い、天山山脈やバイカル湖やタイガに送り出してくれる狩人を夢見る。
(つづく)

山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.