- 作者: Thomas Pynchon
- 出版社/メーカー: Penguin Press HC, The
- 発売日: 2006/11/21
- メディア: ハードカバー
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さてTWITの保護下におかれていたヤシュミン、女子大に入れられてしまう。レズビアンなのでそっちのお楽しみはあるものの、環境になじめず、TWITの監視もうっとうしいので引きこもってリーマン・ゼータ関数に熱中し、リーマンの遺稿の中にリーマン予想の証明があるのでは、と夢想にふけってレンフリュー博士のつてでゲッチンゲンに向かう。
一方母親と再会したダリア、母親の旅芸人一座と豪華客船ストゥペンディカ号に乗って欧州に向かう。その船にはゲッチンゲンに向かうキットと、その友人数学者で四元数論者のルートも乗船。キットとダリア、一目会って運命的なものを感じるが、そこでキットが好奇心で船底まで降りると、実はストゥペンディカ号は二重存在で船底は別の船、船艦マキシミリアン皇帝号で、あたりはドイツ人ばかり。キットはそこに幽閉されて石炭運びにこき使われ、ダリアとは生き別れ。モロッコ沖で英独が交戦状態とかで船は急遽進路を変え、キットはアガディールで下船したと思ったら漁船フォーマルハウトに拉致されてまたまたこき使われる。ダリアはトリエステでおろされ、キットはオステンド(ベルギー)で解放される。
さてオステンドは四元数主義者たちの総会があったばかり。キットの属するギッブス配下のベクトル主義者との戦い(世に言う四元数戦争)で敗れた四元数主義者たちは世界各地を徘徊しているんだと。キット転がり込んだホテルにはベルギーの虚無主義者たちが集って王制崩壊の必然性について議論を展開。かれらはベルギー王暗殺を(一応)たくらんでいる。キットは日本人四元数主義女性釣鐘梅記(ツリガネ・ウメキ。首に風呂敷を巻いている)とあって話したり。ベクトル派と四元数派の対立はつまり、ベクトル派は実部を三次元、虚数軸に時間をあてるが、四元数は空間次元を虚数軸にあてて、時間を実部にしているから、なんだって。さらに出会った女性プレアイデに招かれて、キットはベルギーの有名なマヨネーズについてひとしきり講義をうけてマヨネーズ工場に向かうが、マヨネーズの洪水に襲われ、命からがら逃げ出したところを有人魚雷テスト中の虚無主義者二人に助けられる。ブレアイデは実は、謎の四元数兵器を探す男と接触しているのだった。
(つづく)