佐々木良昭『革命と独裁のアラブ』:勝手な思い込みエッセイをまとめただけのゆるい本。

革命と独裁のアラブ

革命と独裁のアラブ

いやー、ジャスミン動乱というのは、アメリカが新たなアラブ世界の国境再編を行うために陰謀を弄した作戦の一部なんだそうですよ。もう冒頭のエッセイでこんな妄想を読んだ瞬間に、本全体を真面目に読む気がなくなる。なんでも詳しくは言えないが知り合いのあるアラブにきいたところ、アメリカが各地の学生を集めて動乱の起こし方とか電子メディアの使い方とかを指導したと言っていたんだって!

ホントすごいですねー(棒)。ちなみに著者が冒頭で引用する地図を見ると、アメリカの目指す国境再編なるものは、クルド人国家をつくり、サウジはメッカとメディナの地域を独立させ、バグダッド周辺も独立させ等々ありえん代物。北アフリカはまったく考慮されてないんですけど。アメリカは中東(シナイ半島から東)のアメリカ支配を強めるために、それとはるかに遠い北アフリカで、アメリカと仲の良かったムバラクたちを打倒させたんですか! あほくさ。何の理屈にもなってねーや。

あとのエッセイは「アラブとは……」「イスラム教徒とは……」的なゆるい体験文化論みたいなのばっか。アラブは馬鹿で自尊心ばかり強くて独裁者にたかるばかりで(カダフィは立派で)仕事しないで云々。あとは自分が現地といかにコネがあるかを自慢する話ばかり。うんざり。そもそも書評を検討すべきレベルじゃないや。書評委員会にあがる本は、とりあえず朝日新聞の文化部で第一弾のフィルターがかかるんだが、なんでこんな本がそれを突破できたのやら。



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