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中東のノンアルコールビール:アルコール 0.0%ではなく0.00%!!

Economist その他

最近のアラブ系のニュースはあまりに陰惨で悲痛なものばかりなので、少し気晴らしにくだらないネタを:

罪なきビール:中東の醸造所 (Sin-Free Ale: Brewers in the Middle East The Economist 2013/8/3 号)


飲んべえ諸賢はノンアルコールビールに何の意味があるのかと頭を抱えるかもしれないが、その人気は世界中で高まっている。昨年には、22億リットルが消費された。これは五年前から80パーセントの増加となる。先進国では、その消費者は主に健康マニアの少数派たちだ。だが中東はいまや世界のノンアルコールビール販売の三分の一を占めており、その標的となる市場は多数派の絶対禁酒者たちとなる。2012年にイラン人たちは、2007年の4倍近い量を飲み干した。サウジアラビア、エジプト、UAEの消費者たちも、だんだんこの味を好むようになっている(とはいえ中東全域でみると、アルコール入りのビールのほうが、ノンアルコール版よりはたくさん売れている)。

イラン企業ベヌーシが醸造するデルスターは、1979年イスラム革命に乗じてノンアルコールとなった。2005年にガザで、イスラム主義運動のハマスが地滑り的な勝利を収めると、パレスチナ醸造所タイベーは、自社ビールの「ハラル」版となるノンアルコールビールを売り出した。そのラベルはイスラムの緑色だ。

最近の消費増は、消費者たちの野心が高まったためだ、と調査会社ユーロモニターのドバイ事務所にいるアナリスト、マリ・アブドゥルは語る。ノンアルコールとはいえビールを飲むというのは、果物ジュースやコカコーラですら提供できない、グローバル化されたライフスタイルに対する人々の欲望に応えるものなのだ、と述べるのは、レバノンノンアルコールビールであるラジザのブランドマネージャであるギルダ・セーバーだ。ビールはこれまでこの地域では主に自宅で消費されていたが、この華々しいイメージのおかげで醸造所はバーやレストランに対する売り上げを大幅に伸ばしている。

この地域にはいまでもかなりの独立系醸造所がある。たとえばサウジアラビアのベヌーシュやアウジュン(この会社は最近、人気のバービカンビールのパッケージを華やかなものに変えた)。他の企業は世界的なビール会社に所有されている。ハイネケンは、エジプトのアルアーラムベバレッジを買収したときに(ここはアルコール入りビールも作る)、ノンアルコールのビレルやフェイルーズを手に入れた。同じく、カールスバーグがスイスの醸造会社フェルトシュレッセンを買収したとき、中東で人気のノンアルコールブランドであるモウシーも手に入れた。

この市場の参加者が増えるにつれて、ノンアルコールビールはそれぞれちがう市場を標的にするようになっている。たとえばモウシーは、トレンディな若い男女を狙う――その広告の一つは、男女一緒のグループがビーチリゾートでこのビールを飲んでいるところを描く。ビレルはもっと野郎じみたイメージを持っている。その広告だと、サッカーの試合を見ている男たちが、通り過ぎるブロンド女性のほうに首を向けて見入っている様子を描くものだ(どうやら女によだれを垂らすのは、アルコールを飲むよりも罪が軽いらしい)。

醸造所の一部は、現在の同地域における宗教的な規制強化で需要が増えると確信している。そうした企業の一つがトルコの醸造会社エフェスだ。かれらはアルコール版ビールを造っていたが、2011年にノンアルコールのエフェスゼロを導入した。一方、人々が宗教をもっと前面に出すようになったら、西洋の退廃をちょっとでもにおわせるものすべてに背を向けるようになるのではと懸念する人々もいる。

だが、サウジアラビアとエジプトの有力なイスラム神学者たちは、ムスリムノンアルコールビールを飲んでも支障ないというファトワを発表した。サウジの判定では、問題となるのはその飲料を大量に消費することで酩酊するかどうか、ということだった(したがって低アルコールビールはアウトだ)。ラジーザの所有者であるレバノンのアルマザ醸造所は、危ない橋は渡るまいとしている。ラジーザはビールとして売られてはいるが、醸造されたものではない。というのも醸造した後でアルコールを取り除くやり方だと、わずかにアルコールが残りかねないからだ。そのボトルは「アルコール濃度0.00%」と表示されている。他の醸造版ブランドが「アルコール分0.0%」でしかないのと差別化しようというわけだ。(山形浩生訳)

コメント

ビールを飲むのにそんなグローバルな意味づけがあるとは意外。しかし他の人が飲んでいるときに雰囲気参加でノンアルコール、というのはわかるが、みんなでノンアルコールビール飲んで楽しいのかなあ。エジプトもシリアも、こういうくだらないネタでまた盛り上がれるようになりたいよ……