Thomas Pynchon Against the Day あらすじ 15

Against the Day

Against the Day

(承前

さて、ハンターとダリーは(ハンターって前に出てきたっけ? まあいいや)ロンドンにやってきました。で、彼女は彫刻家のモデルを始めるんだが、だんだんそれが変態じみてきたので嫌になったあたりで、ウィルシャー・ヴァイブに出くわし、かれの芝居に端役で出たところ大評判。クライブ・クラウチマスなる怪しいやつにつきまとわれて、いつの間にかその愛人になってしまう。そこで、冒頭のあらすじ1,2あたりで出てきた探偵リュウ・バスニットに再会。

リュウは大金を払って、クラウチマスの内情をダリアに探らせるんだが、その現場をクラウチマスに見つかってしまい、本気でダリアに惚れかけていたクラウチマスは怒り狂って、彼女をコンスタンチノープルのハーレムに売り飛ばすことにする。さてそのオリエント急行の道中、スゼゲッドの駅で彼女を誘拐して身代金を取ろうという試みがあるんだが、ちょうどそのとき反対方向の列車に、キット・トラヴァースが乗っていた。そして誘拐騒動の中、二人は出会い、いっしょに逃げ出して、誘拐犯を列車の中に置き去りにし、パプリカ畑の中を走り、セックスしまくり。


さてフランクは(といっても覚えてないだろうから最初のほうを読んでおくれ)まだメキシコにいて、まああれこれいろいろやってます。


一方、リーフ、ヤシュミン、サイプリアンはビアリッツとかでしばらく過ごしてから、いまやリヴィエラを経てアナキスト温泉町なるところにいる。そこでいまや全世界的に大流行中のアナキストゴルフなるもの(だれもかれもメチャクチャになんら方向性なく自分のボールも他人もボールも無視して打ちまくるんだって)に興じているんだが、そのパーティでいっしょになった人たちはアナキストの新しい方向性なんかを考えていて、これからのアナキストはもう爆発物は使わず共進化に頼るのですとか、わけのわからん理屈が展開される。そして秘密の「ベルギー領コンゴ」の地図なるものの話が出るが、実はそれはバルカン半島の地図で、これからの戦争(第一次世界大戦)の展開を詳細に描いたものだということがクーム・デ・ボトルなる人物の解説でわかってくる。毒ガスとか地雷とか、そんな恐ろしい戦争を放置できないということで、一同は音楽の研究のためと称してバルカン半島で情報収集をすることに。そしてベオグラード経由でソフィアに出かけるが、なかなか情報が集まらないところで、ある日ヤシュミンが出産。ブルガリアのバラ祭の間で、バラに話しかける女の納屋での出産だった。女の子で、ルブリカと名付けられる。

さて、その夏ずっとバラの谷で過ごしていると、あるとき近くにテスラ装置のアンテナを発見。リーフとサイプリアン、そこに駐留している自転車部隊につれられてホスゲンを使っているところに出くわすが、ここでのホスゲンはあまり害のない代物なんだとか。

あまり実害なさそうなので、二人はその話はヤシュミンにはしないでおく。他にもうやることもないかれらはそこを離れて、修道院にたどりつく。そこにはTWITや四元数の徴がいたるところに見られた。サイプリアンは、もはや移動はやめたとして、その修道院に入ることにする。だが、そこで第一次世界大戦が始まる。これまでの戦争とは比べものにならない悲惨な戦争が展開され、一同は自分たちがそれを阻止できなかったことにかなり落胆。サイプリアンを修道院に遺して先を行くリーフとヤシュミン、ルブリカをよそに戦争は拡大し、かれらの選択肢も狭まる一方となる。残された路は、絶対に立ち入るなと言われたアルバニアのみ。でもそこで運良くかつてのアナキスト仲間に会い、落ち着いたリーフは、いっしょにコロラドに帰ろうとヤスミンに申し出る。

道中のコルフ島で、かれらはヤシュミンの父オーベロン・ハーフコートに出会う。かれはいつの間にか、釣鐘梅木ちゃんと結婚していたのだ(コンスタンチノープル日本大使館で、数学アタッシェをしてたんだって)。
「わたしにとってシャンバラとは目標ではなく欠如だったのだ。場所の発見ではなく、わたしのいた未来のない場所を出るという行動だったのだ」

(つづく)





クリエイティブ・コモンズ・ライセンス
山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.