Executive Summary;
キューバのインターネット事情はかなり劣悪であり、公園や公共施設付近にある官製 wifi アクセスポイントに、アクセスカードを使って一時間1ドルで接続するしかなかった。が、2018年12月から、待望の3Gモバイルインターネットが開始された。現地SIMが得られたら(これが大きな条件)、以下のようなやり方でネットが使えるようになる:
- 携帯のデータ通信用APNをnautaにする
- mi.cubacel.net にアクセスして、登録を行う
- そのまま待つと、一日くらいでネットが使えるようになったというSMSがくるので(実はそれ以前でもできるとの噂)、そこにある番号*133#に電話する。するとメニューが出てくるので、パケットを欲しいだけ買う。1GB=10ドル程度。番号の残高が少ない場合には、その前にチャージしておく)
- 開通!
キューバのインターネット事情
キューバのお話の番外編として、キューバのネット事情についてちょっと書いておこう。一言で非常に悪いっす。日本のぼくたちは、常時接続があたりまえだと思っていて、ウンコしながらでも「いいね!」ができないと基本的人権が冒されたように感じてブーブー文句を言うけれど、そんな人はキューバでは死ぬしかない。是非そういう人はキューバに行って欲しい。
まずそもそも、キューバはほとんどろくにインターネットにつながっていない。
この図を見ると、あらゆる光ファイバーは完全にキューバを迂回していることがわかると思う。実にきれいに縁取りされているなあ。フロリダから出た太い海底ケーブルは、キューバをかすめているように見えるけれど、つながっていない。キューバに来ているのは、ジャマイカからの細い一本と、ベネズエラにつながった一本だけ。キューバよりひどいといえば、ハイチ&ドミニカくらいか……
プエルトリコとつなげる計画があるとか、噂はときどき聞くんだけれどねー。
そして、一般のネット接続も非常に限られていた。公共機関とか、許可を得た企業とかは接続できる。でも一般人はなかなかできない。PCや、もちろんスマホはいつのまにか普及している。でもネットにつなぐためには、あちこちの公園や公共施設に行かねばならない。すぐにわかる。大量に人がいて、みんなスマホ見てるから。そして、あちこちの電話局の出店で、あらかじめこんなカードを買っておかねばならない。
いちいちこの12桁の数字を入れるのが面倒でねー。いちいち時間を計算しつつ接続をするので、かつてのダイヤルアップ時代みたいだし(と言って知らない若者が多いんだろうね)、しかもその接続自体が決してはやくない。公園にいる人数が多いとブチブチ切れるし、切れたときもきちんと接続を切るのがむずかしかったりするので、なんかずいぶん時間を損しているような気がする。
ちなみに高級ホテルは独自のWIFIを持ち、同じ仕組みながらぼったくり料金で接続させている。
多くの人は、これが人々にネットをあまり使って外部世界と接触させないための国策だと思っている。さっきのカードを買うときには、ぼくたちはパスポートを見せねばならないし、そのときに番号をちゃんと控えられる。Wifiルーターは、空港で入国時に見つかると没収される。もちろん、最近のルーターは小さいしUSBメモリやバッテリーを兼ねたりしているので、持ち込めることはあるけど、基本はダメだ (こういうアンテナがついてなければ大丈夫、という人もいる)
でも、全開の憲法改正案説明の講演会でもそうした認識を反映して「ネットは解禁されるんでしょうか??!!」という質問が出て、それに対して大使館の人は「いやネットの状況は政府のせいではなく、それを事業としてやる民間事業者が現れないせいだ」と述べていた。単純に容量不足で、国営電話会社にそれだけの大容量接続を可能にするだけの資金がないということかもしれない。ここらへん、真相はよくわからない。
3Gネット解禁
が、2018年12月に、3Gのネット接続が解禁された。
現地SIMを持っていれば、これが使える。ただ、現地SIMを入手するのはそれなりに面倒だったりする。そんなわけで、使える人は限られているので、有用性もアレだけれど、もし何か予定のある人がいれば、接続マニュアルを作成したので、ご活用ください。
1GB=10CUC(10USD)なので、中国基準とかに慣れている人は高いと思うかな。でも地方都市でもそこそこよくつながる。さっきの時間制のインターネットカードと、従量制の3Gとで接続をうまく使い分けることで費用を抑えることは可能です(山形は、XperiaがいきなりAndroidの更新を三回も連続でやってくれて700MBとかが即座に食い潰されて、泣きそうになりました。ソフトの更新には注意!)
山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata は Creative Commons 表示 - 継承 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。