むしろ感想文

バラード『太陽の帝国』新訳は、当然大きく改善されています……と書きたかったんだけど。

先日ふと、バラード『太陽の帝国』の新訳が出たのを知った。しかも山田和子訳。 太陽の帝国 (創元SF文庫)作者: J・G・バラード,山田和子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/07/30メディア: 文庫この商品を含むブログを見る これについては、国書刊行会…

ウィリアム・ギブスン:意匠だけのファッションショー小説

Executive Summary ウィリアム・ギブスンの1990年代三部作と、2000年代三部作は、いずれの小説としての体をなしていない。ストーリーはどれもほぼ同じで、まったく必然性のない探索を、まったく必然性のないアート系女子が、大金持ちに依頼され、必然性のな…

ガルシア=マルケス『戒厳令下チリ潜入記』:ガルシア=マルケスは潜入してないし映画のおまけ。潜入して何が見えたかはまったくなし。

戒厳令下チリ潜入記―ある映画監督の冒険 (岩波新書 黄版 359)作者: G.ガルシア・マルケス,後藤政子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1986/12/19メディア: 新書購入: 2人 クリック: 12回この商品を含むブログ (23件) を見る ずっと本棚にあったのを初めて読…

マクナマラの悲しい弁明

マクナマラ回顧録 ベトナムの悲劇と教訓作者: ロバート・マクナマラ,仲晃出版社/メーカー: 株式会社共同通信社発売日: 1997/05メディア: 単行本 クリック: 14回この商品を含むブログ (19件) を見る 久々にバンコクにきたのに、約束時間までの空き時間が少し…

セックス妖精、なぜ殺したがるの?

いま見ているすっげえ分厚いファンタジー本があって、そこで万能の主人公がセックス妖精と出会う場面がある。いやホント。セックス妖精。 そのセックス妖精、千年も前からどんな男でもそのあまりのよさに、身も心も虜になってしまい、彼女のもとから帰ってき…

こんなろくでもない守護霊に憑依されても、あんな立派な学者になれるんですね!

一応さあ、ピケティの関連本は一通りレビューしたいなとは思っててさあ、まあこの本もあることは知っていたんだけど、わざわざ定価で買って印税を一銭でも上納するなんて、霊的風紀維持法に違反するような気がするじゃない? だから古本で安く出回るまで我慢…

旅に出る時ほほえみを

旅に出る時ほほえみを (1978年) (サンリオSF文庫)作者: ナターリヤ・ソコローワ,草鹿外吉出版社/メーカー: サンリオ発売日: 1978/12メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る もう30年近く前に買ってずーっと本棚に寝ていたのを、引っ越しを機に始め…

フエンテス『テラ・ノストラ』:英訳で読んだときと感想は同じ。力作だけど(それ故に)アナクロ。

http://honto.jp/netstore/search_10%E3%83%86%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%8E%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9.html?srchf=1honto.jp なんと、カルロス・フエンテス『テラ・ノストラ』の日本語訳が出てしまった! 出る出る詐欺にはひっかかるまいと思って英訳版を…

ねじ曲がったプライドの持ち主とは:鍋が釜をなんとやら。

なんか、うっかりこんなどうでもよいものを見て目を汚してしまったんだが……(しかも気がついてみると、これは新しい記事ですらなかった!が、内容的にはあまり時代に左右されるものではないので) business.nikkeibp.co.jp こんなもの読みたくないという人の…

中国メディアの歪曲

昼休みに2ちゃんまとめサイト見てたら、こんな記事を見かけた。 web.archive.org なんかBBCってえらくきついこと言うんだねー、と思って、実際なんと言っているのか見てみようと思って、検索かけました。ここで言及されているのは、明らかに次の記事。 www.…

フランク「アンネの日記」:やはりモノにはそれに適した年齢があると思う。

アンネの日記 増補新訂版作者: アンネフランク,深町真理子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2003/04/08メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 48回この商品を含むブログ (34件) を見る言わずと知れたアンネの日記。こないだアムステルダムに行ったとき、いつ…