2014-01-01から1年間の記事一覧

アーウィン『マネーの支配者』:ECBトリシェと、その人形遣いブンデスバンクの悪行が見所です。

マネーの支配者: 経済危機に立ち向かう中央銀行総裁たちの闘い作者: ニール・アーウィン,関美和出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2014/03/20メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見るこんな本が出ました。で、この本は頼まれて帯の推薦文を書いた…

エンゲルス「イギリスの労働階級」

ちょっと気が向いて、若き日のエンゲルスのルポを訳してみた。訳出したところは前置きで、おもしろいのはこの次の「大都市」の章。でもここまでの章も、エンゲルスが産業革命にすっごい興奮しているのがよくわかっておもしろいところ。エンゲルス自身が若書…

たんぽぽのゴム

無意味な雑学。ガキの頃、たんぽぽの茎を折ると出てくる白い液体は毒で、飲むと死ぬと信じていたんだけれど、その後ブラッドベリの「たんぽぽのお酒」を読んで、なんとあれが飲めるのか、と驚愕したものです。で、今日くだらない雑誌を読んでいたら、あの白…

ブラフマン『ひらめきはカオスから生まれる』:乱雑礼賛はうれしいが、中身なさすぎ。

ひらめきはカオスから生まれる作者: オリ・ブラフマン,ジューダ・ポラック,入山章栄,金子一雄出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2014/02/15メディア: 単行本この商品を含むブログ (6件) を見る 乱雑なほうがインスピレーションやひらめきがうまれやすい、秩…

ミシン

名探偵カッレくん (岩波少年文庫)作者: アストリッド・リンドグレーン,エーヴァ・ラウレル,Astrid Lindgren,尾崎義出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/02/16メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 21回この商品を含むブログ (31件) を見る全然関係ない………

ゴードン『ミシンと日本の近代』(つづき):マイクロファイナンス、グローバリズム、「主婦」と家庭と社会、その他なんでも!

ミシンと日本の近代―― 消費者の創出作者: アンドルー・ゴードン,大島かおり出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2013/07/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る昨日から引き続き、『ミシンと日本の近代』。今和次郎の考現学を通じた洋装の発…

ケインズ on トロツキー

ケインズが書いたトロツキーの本についての書評、ちょろっと訳してみた。すごく意外なことが書いてあるわけではないので、まあお笑いとして。 ケインズ「トロツキーのイギリス論について」(1926) しかし、チャーチルがそんなにトロツキーを意識していたとは…

ゴードン『ミシンと日本の近代』:抜群におもしろい。物販と金融と生産に消費、産業と文化と女性の社会進出、なんでもあり!

ミシンと日本の近代―― 消費者の創出作者: アンドルー・ゴードン,大島かおり出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2013/07/24メディア: 単行本この商品を含むブログ (9件) を見る読んでいる途中だが、抜群におもしれーわ、これ。ミシンの普及は掃除機や洗濯機…

ナサー『大いなる探求』:あれ、この経済学者ゴシップ本、出てたのね。

大いなる探求(上) 経済学を創造した天才たち作者: シルヴィア・ナサー,徳川家広出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2013/06/28メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る大いなる探求(下) 人類は経済を制御できるか作者: シルヴィア・ナサー,徳川家広…

チャルディーニ『影響力の武器』/『影響力の正体』:同じ本なんですがなぜ?(付記:ちがう本だそうです。追記参照)

影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか作者: ロバート・B・チャルディーニ,社会行動研究会出版社/メーカー: 誠信書房発売日: 2007/09/14メディア: 単行本購入: 111人 クリック: 1,196回この商品を含むブログ (217件) を見る影響力の正体 説得のカラ…

根本『物語 ビルマの歴史』:通り一遍で重要な点に踏み込めていないのでは?

物語 ビルマの歴史 - 王朝時代から現代まで (中公新書)作者: 根本敬出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2014/01/24メディア: 新書この商品を含むブログ (5件) を見るはーいみなさんこんにちは。これを書いているのはミャンマー行きの飛行機の中。直行便で…

イーガン『しあわせの理由』:坂村健の解説にびっくり

しあわせの理由 (ハヤカワ文庫SF)作者:グレッグ イーガン早川書房Amazon イーガンは、順列都市もディアスポラもたいへん気に入って、たぶん高校か大学時代なら全作品を読みあさったところだろうけど、いまはそうならないのは、ぼくがすれっからしの読者にな…

クラウス『宇宙が始まる前は何があったのか?』:ぜんぜん関係ないが、3匹のクマって……

宇宙が始まる前には何があったのか?作者: ローレンスクラウス,Lawrence M. Krauss,青木薫出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2013/11/29メディア: 単行本この商品を含むブログ (19件) を見るこの表記の本を読んでいて、なかなかおもしろいんだが、ちょっとひ…

フエンテス『我らが大地』:売れたぜ

カンボジアで3ドルで売れたぜ。重いの持って帰らずにすむ! 山形浩生の「経済のトリセツ」 by 山形浩生 Hiroo Yamagata is licensed under a Creative Commons 表示 - 継承 3.0 非移植 License.

カルロス・フエンテス『我らが大地 (テラ・ノストラ)』: その5 読了!!

Terra Nostra (English Edition)作者:Fuentes, CarlosFarrar, Straus and GirouxAmazon やったー、昨日から100ページほど残していた部分完読! 読み終わったぜー! 最後の部分は、エル・セニョールの死……なんだが、そこになぜか、現代に生まれ変わったイ…

カルロス・フエンテス『我らが大地』: その4 第3部「次の/別の世界」(の途中)

Terra Nostra (English Edition)作者:Fuentes, CarlosFarrar, Straus and GirouxAmazon さて第二部でも話はだんだん動きを持ち始めていたが、最後の部分になって、やっと話が本格的に動きを見せ、俄然読みやすくなる――とはいっても、相変わらず面倒にはちが…

カルロス・フエンテス『我らが大地』: その3 第2部「新世界」読了

Terra Nostra (English Edition)作者:Fuentes, CarlosFarrar, Straus and GirouxAmazon(この前の部分はこちら)さて一番短い第二部「新世界」は、六本指の私生児三人のうち、砂浜に投げ出されて発見した船乗りこと「巡礼」の語り。かれはスペインから新世界…

ディック『聖なる侵入』:旧訳、改めて原文と付き合わせるとかなりトホホだなあ。

聖なる侵入 (創元推理文庫)作者: フィリップ・K・ディック,大滝啓裕出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 1991/01メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 9回この商品を含むブログ (12件) を見る大滝訳って、ヴァリスでもそうだけど、普通の英語をまともに訳せて…

カルロス・フエンテス『我らが大地』: その2 やっと第一部「旧世界」読了

Terra Nostra (English Edition)作者:Fuentes, CarlosFarrar, Straus and GirouxAmazonこの小説は三部構成になっていて「旧世界」「新世界」「次の(彼方の)世界」となっている。最初の「旧世界」が、全780ページのうち350ページほどで半分近く、いちばん長…

近森他編『無印都市の社会学』:社会学の「フィールドワーク」って、小学生の観察日記ですか。

無印都市の社会学: どこにでもある日常空間をフィールドワークする作者: 近森高明,工藤保則出版社/メーカー: 法律文化社発売日: 2013/08/21メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見るコンビニとかショッピングモールとか家電量販店、パチンコ屋、フ…

快傑ハリマオ、第五部まで全部見終えた!

正月からずっと見続けていた、快傑ハリマオを、最後の第五部まですべて見終えた! 当時はよほど役者の数が不足していたのかな、前のほうのコパール長官が第五部では村のお医者さんだし、コパール長官の娘が第五部では女スパイだし、第一部で陳秀明の部下だっ…

カルロス・フエンテス『我らが大地』: その1 な、ながいし技巧に走りすぎ……

Terra Nostra作者: Carlos Fuentes出版社/メーカー: Farrar, Straus and Giroux発売日: 2013/05/14メディア: Kindle版この商品を含むブログ (5件) を見る一連のカルロス・フエンテス著作を読んできて、あとはこれと Hydra Head さえ読めばフエンテスはすべて…