先日、「資本主義の行き詰まりがあちこちで見られる中で新たな経済思想は〜」みたいな話をきかれて、ぼくはちょっと言葉に詰まった。というのも、資本主義がそんなに行き詰まっているとはぼくは思っていないから、なのだ。 それで、ちょっと以前読んで気にな…
ピケティの新著、翻訳鋭意進めております。その中で古い本がたくさん引用されてて、中にあったのが、コンドルセ。 人間精神進歩史 第1部 (岩波文庫 青 702-2)作者:コンドルセ発売日: 1951/03/05メディア: 文庫 引用ヶ所の邦訳ページを調べなくてはならないの…
トマス・ペインのAgrarian Justice、よく題名の直訳で、「農民の正義」とか紹介されているので、農地改革のすすめかなんかだろうと思って読みはじめたら、ぜんぜんちがいました。 なんと1795年の段階で、ベーシックインカムの必要性を実に明解に訴えた先駆的…
いろいろ忙しくなってきたので、例によってケインズ『説得論集』の全訳をあげてしまいました。1931年の原著すべてプラスアルファになっております。 J.M.ケインズ『説得論集』pdf 1.3MB https://genpaku.org/keynes/essaysinpersuasion/JMKessaysinPersuasio…
こないだ石岡瑛子展にいってきて、大正解だったというのは前に書いたとおり。何やら終わり近くは連日満員だそうで、ご愁傷様です。 cruel.hatenablog.com さて、そこでも書いたことだけれど、その中であのMISHIMAの金閣寺が、ちょっと浮いていて空回りしてい…
以前、H・G・ウェルズによるスターリンのインタビューの翻訳を載せたら、それなりに好評を博した。 cruel.hatenablog.com その後、ちょっとまた別の興味でケインズ全集を見ていたら、なんとこのインタビューへの言及があって、ケインズがこれにコメントをよ…
先日、ケインズの「芸術と国家」という文章を訳した。 cruel.hatenablog.com そのとき、これがケインズ全集に入っているかどうかいちいち確かめたりしなかったんだが、別のことを調べていたら、出ているのがわかった。 社会・政治・文学論集 (ケインズ全集)…
Exectuive Summary ピケティ新著のサポートサイト用に、図表の加工を外注したい。報酬は出たときに訳書をあげるだけ。以下の仕様を見てわかるヤツだけ応募しなさい。 はじめに 高齢な方々の中には、はるか昔にトマ・ピケティ『21世紀の資本』とかいう本がな…
epub版ケインズ『人物評伝』表紙。 年明けてからケインズ『人物評伝』を訳し始めて、月の内になんとか終わりました。 ジョン・メイナード・ケインズ『人物評伝』pdf 2.7MB ジョン・メイナード・ケインズ『人物評伝』epub 1.4MB epubは、pandocで機械的に変換…
ケインズの人物評伝の訳は続いていて、マルサスが終わってスタンリー・ジェヴォンズになっている。 マルサスはかなり温厚でまともな人だったらしいけれど(まあ牧師さんだから)、それでも結構面倒な人ではあったみたい。同時代の人の証言によると、 「だが…
1933年のケインズ。 急に忙しくなったので、余計なことに手を出し始めて、ケインズ『人物評伝』の訳をこの連休に始めた。政治家、経済学者、科学者のパートがある中で、政治家の部分が終わったので、まあご覧あれ。 ジョン・メイナード・ケインズ『人物評伝…
ロバート・ソローの「内生的成長理論死ね」本と、サイモンの合理性本、epub化した。 ロバート・ソロー『アロー『やってみて学習』から学習:経済成長に とっての教訓』epub版 (右クリックでダウンロード) ハーバート・サイモン『人間活動における理性』epub版…
21世紀の資本作者:トマ・ピケティ発売日: 2015/04/27メディア: Kindle版 新年仕事始め前の小ネタ。ツイッターでこんなのみかけたのよ。 このツイ主は、浅田論文を読んでおくことでどういう知見を得るべきなのか、ここで採りあげているネット番組の問題提起に…
あけおめ(死語)。 各種の翻訳の公開がpdfなのが気にくわねえとかいうケチがついて、なんでも若者はepub形式だそうで、pdfなんざ加齢臭で読んでいただけないそうですよ。悪うございましたね。epubは昔、少し検討したんだけれど、確か日本語だと注かルビが処…
その昔、1999年にプロジェクト杉田玄白をたちあげたときに手をつけたはじめた、アダム・スミス『国富論』、4章くらいまでやってその後ほとんど進んでいなかったが、この4日ほど気晴らしでがーっとやって、8章まで終わった。これで第一巻の半分くらいになる。…
今年はろくな年ではなかったし、来年もどうなるやらという感じだが、まあそれでも欲しいやつにはクリスマスプレゼントみたいなものでもあげようか。耶蘇じゃないけど。都市景観保全系の論集にケインズが寄稿していたのを見つけたもので。 全集のどれかの巻に…
Executive Summary この展覧会を前にしてどうでもよくないと思う人は、豚に真珠もいいとこだから観に行かないほうがいいよ。 はじめに 先日、無料券をもらったので石岡瑛子展にでかけてきたのです。 www.mot-art-museum.jp ぼくは石岡瑛子は昔からとても好き…
新訳 夢判断 (新潮モダン・クラシックス)作者:フロイト新潮社Amazon 古典をきちんと読まなければ、みたいな強迫観念は、昔は強かったけれど、いまはあまり残っていない。が、フロイトは高校時代に岸田秀に入れ込んだこともあり、またいろんな人がフロイトは…
しばらく前に、ケインズ『平和の経済的帰結』(1920) とその続編 (1922) を翻訳した。 cruel.hatenablog.com cruel.hatenablog.com で、後者をやっていたときに、実はこの二冊とも、イギリス版とアメリカ版が微妙にちがっていることに気がついた。イギリス版…
付記:なんか多くの人が、これを2020年10月の学術会議がらみの一件に対する批評的な意図を持ったものだと読んでいるようなんだが、ぼくは実はまるでそんなことを考えていたわけではないのだよ。ホント、たまたま出てきただけなのよ。が、もちろんそういう解…
最近さまざまなメディアにおける人民諸君の発言を見るにつけ、であるな、多くの者が堕落し、あるべき革命精神を忘れ、軽視し、捨て去っているように見えるのだよ。特にへっぽこリベラルえせ知識人どもよ。そうした反革命分子どもにも、更正の機会を与えてや…
最近、ニコ動のノーベル経済学賞予想がなくなってしまって、真面目なトトカルチョをしなくなったのであれだが、FBで聞かれたのでちょっと考えて見た。 が、どうだろう。まずノーベル賞そのものは、科学系以外のものはどんどんおかしくなってきていると思う。…
はじめに 数日前に、サイモン『人間活動における理性』の海賊訳を公開したら結構みんな喜んでくれて幸甚。 cruel.hatenablog.com が、これを実際に読んでくれた人でも、結構苦労しているらしい。 note.com でてくる用語として、馴染みのないものが結構ある、…
久しぶりにレッシグの翻訳をしているんだけれど、なかなかおもしろい(部分もある)。 かつてのインターネット法や著作権法からレッシグの関心は大きく逸れて、ここしばらくのレッシグの本は、アメリカの選挙献金制度の改革がテーマになっていた。何度か、翻訳…
はい、コロナ戒厳令開始前に、サイモン『意思決定と合理性』の改訳を始めました。 cruel.hatenablog.com で、終わった。まあ読みなさい。 ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(1982) pdf版 ハーバート・A・サイモン『人間活動における理性』(…
しばらく前に、ケインズ『条約の改訂』が仕掛かりだけど放り出す、という話を書いた。 cruel.hatenablog.com でもなんか、気の迷いで結局全部訳しちまったよ、あっはっは。暇だなあ、オレって。まあ、ご笑納くださいませ。 ケインズ『平和条約改定案: 続「平…
最近、初版諸般の事情でケインズの伝記をいっぱい読んでいるんだが、うーん、スキデルスキーのものすごい分厚い三巻本とかがんばって見ているんだけど、平板だなあ、という感じ。分厚いのだと、その物量にうんざりしてそういう印象になりがちだというのもあ…
しばらく前、といってもコロナ前だからはるか昔のように思えてしまうけれど、かのエドワード・スノーデンの自伝を訳したのでした。NSAに気がつかれないよう、原文はタイプ原稿コピー、著者名も偽名、これについてネットで絶対話をするなという条件つきで、し…
しばらく前に、ケインズ『平和の経済的帰結』を全訳した。 cruel.hatenablog.com もちろんご存じと思うけれど、これは第一次世界大戦後に、イギリス外交団の一員としてヴェルサイユ会議に参加したケインズが、あらゆるものをドイツからはぎとって、しかもそ…
チェ・ゲバラプレイバック作者:太田 昌国発売日: 2009/01/01メディア: 単行本 この本は変な本ではある。現代企画室を主宰し、チェ・ゲバラ関連の本をたくさん出してきた太田昌国が、基本的にはゲバララブを貫徹しつつも、擁護しきれず変な妄想に走っていると…