レム の検索結果:
…続き。スタニスワフ・レム『SFと未来学』第13章「SFの実験」。SFにおける文章、ブラッドベリとニューウェーブについての章だ。 さてこれまで、章ごとにぼくが訳しながらずっとうんざりしていたのは、非常に明らかだと思う。ワンパターンの罵倒にウンチク開陳に自慢。はいはいわかりましたよ、すごいですね。 「お前の中ではそうなんだろう」 が、この章はうってかわって見事。バラードの濃縮小説などに見られる実験小説が持つ意味と限界の分析も、きわめて的を射た鋭いもの。そして下巻の三分の二がすでに…
…続き。スタニスワフ・レム『SFと未来学』第12章「棚卸し」。前章の最後で「次回は『総括』」と書いたけど、AIの翻訳がちょっとちがっていた。「その他」をまとめて扱いましょう……と言いつつ、やるのは冷凍睡眠とか、身体交換にともなうセックスの話と、あと宇宙旅行での異星生命体の話。 もう完全にワンパターンで、「SFはバカ、何も考えてない」と一言書いたあとで、「このテーマは真面目にやればこういう可能性がある」とそのテーマに関する自分のご高説をずらずら書くだけ。 例によって「こういうアイ…
…闘! スタニスワフ・レムとウンベルト・エーコ ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』に対するスタニスワフ・レムの見事な書評、およびその『覚書』をもとにした「なぜあれがベストセラーになったか」についてのトホホな考察を訳してしまったので、委員会関係者には読ませてあげよう。 スタニスワフ・レム、エーコ『薔薇の名前』を読む:作品論 (およびベストセラーへのやっかみ) レム『偶然の哲学』(1968)の1984年改訂版(おそらく第3版?)に収録された模様。独語からの重訳。 おおまかな中身として…
…続き。スタニスワフ・レム『SFと未来学』第11章「人間と超人」。前章の最後で「次回は、人間と超人。どうせ、SFは馬鹿なスーパーマン妄想にふけっていてアホ、ステープルドンはすごいと言うんでしょ。もうだいたい読めてるんだよね。が、まあお手並み拝見。」と書いたが、8割あっていたけどちょっとちがった。 まずSFの悪口は最初と最後の一行ずつだけ。「こいつら何も考えてないから見るだけ無駄」というだけ。あとは、ステープルドン『オッド・ジョン』はすごいぜ、という話が延々続く。ここまでは予想通…
…をするスタニスワフ・レム 手すさびで、スタニスワフ・レムの1997年インタビュー集を訳したので委員会の方はどうぞー。他の人はだめです。 https://cruel.org/books/Lem/LemReader/SwirskiLemReader_j.pdf 聞き手はピーター・スワースキーなる人物。巻頭の論説を見ると……あまり鋭いことは言えず、レムの作品は宇宙からだんだん地球におりてきて人類の未来を憂うものになってきました、というだけ。でもインタビューでは、ありがちな文芸屋さん…
…1/09 はじめに レムのねたを漁っていたら、彼が1971年に書いた小松左京『明日泥棒』評が見つかった。まあお読みあれ。原文は以下にあります。 https://fanac.org/fanzines/SF_Commentary/sfc23.pdf オーストラリアの名ファンジンとして名高いSF Commentary. この粗雑な作り。ちゃちな表紙、タイプ打ちの素人臭い作り。でも、ファンジンがファンジンだった頃の香り高い、たぶんぼくと同年代の人々は見ただけで涙が出てくるような懐かし…
…続き。スタニスワフ・レム『SFと未来学』第10章「エロスとセックス」。まあ楽しいエロ話が展開されるわけがないのは百も承知ではあったが、ここまで無味乾燥とは予想しておりませんでした。 スタニスワフ・レム『SFと未来学 II』 あらすじ 10.1 序論 セックスは、ヒトという種の存続には不可欠なんだけれど、セックスしなけりゃ死ぬってわけじゃない。これは料理と同じ。食べなきゃ死ぬし、食べると喜びを感じるけれど、そのための料理というのは、必要ではあるがいろんなやり方があるので、そこに…
…続き。スタニスワフ・レム『SFと未来学』第9章「SFの形而上学と信仰の未来学」。 スタニスワフ・レム『SFと未来学 II』 あらすじ これまでの章と同じく、何か体系だった考察が行われているわけではなく、いろいろ読んで思いつきを並べるだけ、という感じ。宗教や形而上学を扱ったSFとして唯一見るに値するのはウォルター・ミラーJrの『黙示録3174年』のみ。他は浅はかで宗教をくだらない思いつきのネタにしているだけ。 黙示録3174年 (創元SF文庫 ミ 1-1)作者:ウォルター・M・…
…と物語の構造 感想 レムの(本書の) 違和感について つづく はじめに はい続き。スタニスワフ・レム『SFと未来学』第8章「宇宙とSF」。 スタニスワフ・レム『SFと未来学 II』 あらすじ これまでの章と同じく、何か体系だった考察が行われているわけではなく、いろいろ読んで思いつきを並べるだけ、という感じ。 8.1 はじめに 宇宙は、これまで文学でまともに扱われることがなかった。そもそも人類史において、宇宙というのが具体的な場所だ、という認識が出てきたのもごく最近だし、そこに…
…いつまでも終わらないレム『SFと未来学』にちょっと疲れてきて、お手軽なものを。 レイモンド・チャンドラー『プレイバック』(1958) pdf 2.1MB 2026年1月6日に全訳あがりました。お年玉がわりに。既訳と比べてどのくらい改善されているかは、また注を見ればわかるはず。 これは翻訳権がちゃんと切れているのでご安心を。これについては、訳者解説 (だいたいできてる) で説明しておいたので、興味ある向きはご参照を。なお、最初に書いたときはアメリカの著作権更新の仕組みと本書の献…
…続き。スタニスワフ・レム『SFと未来学』第7章「ロボットSF」。 スタニスワフ・レム『SFと未来学 II』 あらすじ 前章もそうだが、何かこう体系だった考察が行われているわけではなく、いろいろ読んで思いつきを並べるだけ、という感じ。 冒頭、『未来のイヴ』の話がさんざん続く。ヴィリエ・ド・リラダンは、当時の技術的な範囲の中で、ハードウェアの考察も十分に展開し、そして完全に自分にベタ惚れする人間とまったく同じだが人間でない存在というものがもたらす矛盾と混乱についてもしっかり考えて…
…続き。スタニスワフ・レム『SFと未来学』第6章「災厄SF」。 スタニスワフ・レム『SFと未来学 II』 下巻は、SFの主要テーマ別の論説となる。 ちなみに、本書の構成は変で、最初に予定されていた構造/社会/テーマというパートわけが途中でうやむやになるんだけど、わかりにくいしだらだらするので、その予定通りのパートわけをこちらで導入している。 さてこの第6章は、これまでの構造主義の話なんか一切忘れて、SFの大きなテーマの大災厄、地球滅亡の話になる。レム的にはもちろん、SFはクズば…
…ひとつ面白いところ:レムの敗北宣言 この先 はじめに はい続き。スタニスワフ・レム『SFと未来学』第5章「SFの社会学」。 スタニスワフ・レム『SFと未来学 I』 これで『SFと未来学』上下巻の上巻は全訳完了!いやあ、よく頑張ったなあ、オレ。まともにきちんと読むやつがいるとは思えないんだけどね。 さてこの第5章、SFはクズばかりだとさんざん罵倒してきたこれまでの章を受けて、なぜそうなるのか、という話。出版社が商業主義にはしり、志の低い作家が手軽なクズを量産し、ファンどもはそれ…
…続き。スタニスワフ・レム『SFと未来学』第4章「構造主義から伝統主義へ」。 スタニスワフ・レム『SFと未来学 I』 前章では、構造主義は役にたたない、という結論になった。この章の冒頭では、作品の中に見られるいろんな対立構造とかを増やしても作品の本質には迫れない、という話が繰り返される。作品の意味を見なくてはならないんだって。 cruel.hatenablog.com オッケー。で? 本章の中身 これまでのところは、まず全体の概要を説明してから、細かい要約をしていった。でもこの…
…Fの構造的分類基準 レムの相変わらずひどい書きぶり 禁欲的な価値観の押しつけ 何のための「構造分析」? 本章のあるべき構成 この先 はじめに はいはい、お待ちかね (ってだれも読んでないと思うけど)。スタニスワフ・レム『SFと未来学』第3章「文学的創造の構造」までやってきましたよ。 この章は、章題でわかるとおり、構造主義的な分析がテーマ、なんだが、相変わらずかなりろくでもない。 スタニスワフ・レム『SFと未来学 I』 第2章では、前半では作品の分類 (SFとは、ファンタジーと…
…の部分の講評 4. レムの文章のひどさ 5. 本書の紹介についての文句 6. 翻訳について 付記 はじめに さて、スタニスワフ・レム「SFと未来学」だ。スキャン屋からファイルがきたので、続きをやって、第2章の後半分が完了した。 そして、ますます話がわやくちゃ、としか言い様がない。 スタニスワフ・レム『SFと未来学 I』 第2章の前半「空想的なものの存在論」は、SFとファンタジーとおとぎ話などの、ずいぶん恣意的な分類論に終始していた、という話はした。そこでもいったとおり、ここで…
…めに スタニスワフ・レム『SFと未来学』のドイツ語からの重訳を進めている話はした。 cruel.hatenablog.com で、本をスキャン屋に出すことにしたんだけれど、それまでにもう1/3章を自分でスキャンしてやってみました。以下の2.1「空想的なものの比較存在論」。 スタニスワフ・レム『SFと未来学 I』 そして……壮絶なまでにひどいと言わざるを得ない。 そう言っても、実際にファイルを開いて見てくれる人すらほとんどいないのは知っている。だけれど、ちょっとそれをやってもら…
はじめに:レムの偏狭なSF観 『SFと未来学』:レムのSF観とは SFと未来学:序章/第1章あらすじ はじめに 第一部「構造」 第1章 文学作品の言語 1.1 序論 1.2 空想文学の言語的問題 1.3 表現の構造と表現されるものの構造 1.4 表現の内在的構造 1.5 文学作品の4つの構造 1.6 小説世界の字義的機能と信号的機能 今後の進行 はじめに:レムの偏狭なSF観 スタニスワフ・レム『技術大全』を完成させた話はいたしました。 cruel.hatenablog.com…
…F巨人スタニスワフ・レムが、科学と技術の未来について考察した大著にして怪著。基本的な発想は、科学や技術の発達に生物学的な進化の手法を採り入れようというもの。今後、科学が拡大し、分野がタコツボ化するにつれて、人間だけでは科学進歩が間に合わなくなり、分野横断的な発展も困難になる。理論を「理論子」のような自律存在にして、それを自然淘汰させることで優れた理論がひとりでに発達するようになるのでは、という。また技術も、遺伝情報の媒体DNAがそのままタンパク質を実際に作る鋳型にして材料であ…
…のが、スタニスワフ・レム・コレクションだった。 スタニスワフ・レムは、評論系もいっぱい書いていて、この本にもちょっとだけ収録されている。それでスタニスワフ・レム・コレクションの第2期が出るときいて、そっちのほう期待していたんだよね。だってあまり残ったネタがないし。 www.kokusho.co.jp ところがラインナップ見ると、そっち方面はまったくやらないのね。まあレムの評論ってすごく面倒くさいし、長ければ長いほど風呂敷がどんどん広がって、レムの本家サイトでも「だんだん広がっ…
…年にはあの怪作『ゴーレム100』を執筆したことでも知られ、ワイドスクリーン・バロックの筆頭格。次々に放出されるきらめくようなイメージとアイデアの数々、そこに散りばめられた、俗悪さと文学的なイメージの混在、それをつなげる古典的な英雄譚じみた軽薄きわまるストーリー。ベスターのこの作風は生涯変わらず、余人の追随を許すものではない。 本書はそのベスターの遺作となる。そこには上にあげた要素がすべてつめこまれている。 そして……本書はとんでもない愚作である。 お話は……ネタバレ注意ではあ…
…ネクション』と『ゴーレム100』の間の佳作となる。(付記:後で見たら、ゴーレム100の後なのか。失礼) コンピュータ・コネクション (1980年) (サンリオSF文庫) 作者:アルフレッド・ベスター Amazon ゴーレム 100 (未来の文学) 作者:アルフレッド ベスター 国書刊行会 Amazon 英語圏の評判を見ると、ウィキペディアでもそうなんだが、この晩期の作品はどれもあまり評価されてなくて、ぐちゃぐちゃでわけわかんなくて、晩節を汚すものとして罵倒されている。 日本で…
…:55 モスクワ クレムリン en.kremlin.ru ドネツクの傀儡プーシリンとプーチン デニス・プーシリン: (前略) アルチョモフスクの話が出たついでですが、昨日ここに向かう途中で、イフゲニー・プリゴジンの死に関する胸の痛むニュースを知りました。これは我々にとって繊細な問題です。というのもワグネルグループの彼の部下も命を落としたからです。アルチョモフスク解放に参加したのは彼らでした……もちろん状況は様々な懸念と同情を我々の間に引き起こしました。残念ながら現在起きている…
…いるように見える。クレムリンのサイトには、動画は上がっていないけれど、なんか現地テレビの映像などを見ると、プーチンはかなり顔がこわばっているように見える。 今回のに対して、プーチン政権への打撃は少ない、という見方も出ているけれど、なんかこの弁解を見る限り、当人たちはヤバいと思っているみたいで、いろいろ震撼しているんじゃないか、とは思うんだが。ま、どうなりますやら。あと、こういう建て付けにすると、ショイグやゲラシモフはしばらくは残留させないと話がなりたたない。無策を露呈したが、…
…:10 モスクワ、クレムリンにて 友人諸君、 本日、改めてロシア国民のみなさんに告ぐ。みなさんの自制、一体性と愛国心に感謝する。この国民的連帯は、あらゆる恫喝、国内騒乱を引き起こそうとするあらゆる試みが失敗を運命づけられていることを示すものである。 繰り返そう。社会と政府の行政法制部門はあらゆる階層で、高い団結ぶりを示した。公共機関、宗教の宗派、主要政党や、実際問題としてロシア社会のすべてがきっぱりと一線を保ち、憲法的な秩序を維持するという明示的な立場を採った。肝心なこと——…
…らない (ただし、クレムリンの通常の演説などに必ずついている場所の表示がこれにはないことに注意)。 en.kremlin.ru ロシア国民に向けて語るプーチン 2023年6月24日 10:00 ロシア国民のみなさん、軍人諸君、法執行機関、公安サービス、および戦闘位置で戦っている兵士および指揮官諸君——敵の攻撃をはねかえしておりしかもそれを英雄的に行っている——私がこれを知っているのは、昨晩前線のあらゆる部隊指揮官と再び話をしたからだ——に告ぐ。また、詐欺や脅しによりこの犯罪的…
…移転させましたし、子供が家族と再会するのに反対したこともありません。もちろんその親戚たちがやってくればの話ですが。これについては一切障害はないし、今後もありません。この点は保証いたします。 議論の途中でしたがこれが申し上げたかったことです。時間を割いていただき恐縮です。 では続けましょう。こんどはザンビア共和国大統領、ハカインデ・ヒチレマ殿に喜んで議場をお渡しします。 お願いします。 (訳注:2023年6月20日現在、クレムリンサイトは、他のアフリカ代表の発言を収録してない)
…、全然ちがう目的でクレムリンのサイトを見ていて、2014年クリミア侵攻/併合についてちょっと調べていた。その中でちょっと重要な記録が以下のものだ。 en.kremlin.ru これは毎年プーチンが開いている、だれでも電話をかけてプーチンに質問してよくて、プーチンもそれに精一杯答えるというイベントだ。いまやすでにほとんどが完全なヤラセと公式声明の発表会と化してはいるが、始まった当初は本当に即興で、かなり率直なやりとりが多く、またかなり後になっても公式声明に混じって、たまにストレ…
…りました。翻訳は、クレムリンの公式英訳に基づいている. ロシア語との齟齬があるかもしれないが、チェックしていない. 付記:ロシア大使館の翻訳がすでにあった。わっはっは、壮大に時間を無駄にしてしまったが、まあ複数あって悪いことはない。あと、ロシア大使館訳を注なしで読んでも、ほとんどこまかいウクライナ史の話 (の歪曲)で、わかんないと思う。ヘーチマンってなんだか知ってた? ぼくは知らなかった。他の部分もヘタすると真に受けて陰謀脳になっちゃいかねないから危険よ。ぼくのつけた訳注見て…
…版は、舞台となったクレムリンや大統領専用機、さらにプーチンの余裕の笑みは一見してもいいが、冗長。 ダメなプーチン本は、もちろん日本だけに限られるわけではない。ただ通常、日本に入ってくるときには翻訳というプロセスがあり、その中であまりにまぬけなものは、あらかじめ選別されて落とされる。だから、そんなにひどいものはそもそも紹介されないことが多いというだけの話だ。 が、もちろんそのフィルターをかいくぐって、ろくでもないものが来てしまうことは当然ある。特に、かつてはえらかった人が、高齢…